もう45年以上前から管理人の脳内に住み着いてるキャラクターの、稚拙な妄想小説のお披露目場です。
ご笑覧下されば幸いです。

・時系列に置いてあります。
・但し最新作は先頭に。
・中断&書きかけ御容赦。
・感想&ツッコミコメントは「田毎の月」へでもこちらへ直接でもOKです~vもちろんメールでも。

・暇つぶしにネタばらしブログもどうぞ→管理人ざんげ室 

「なに?なんでここに居るの?」

「それはこっちの台詞だ!」

怒ってる。
肩を怒らして、目がつり上がってもう半分怒鳴り出してる!

わけも判らず土間へ下りていきながら、頭の中が猛スピードで回転して出した結論は、

「判った!後をつけたのね?」

きっとそうだ!

「なんだと?」

「私が遊びに出歩いてるのが悪いって言うんでしょ?探し出して連れ戻そうってことでしょ?」

あ~っ!腹立つ!
思い当たった瞬間に脳みそは沸騰している。

屯所が近くなったので、多少の外出なら留守番を置かなくてもいいと山崎さんには言われていた。
年がら年中籠の鳥はかわいそうだとの配慮からだった。

それはこの人の了解も得ているはずだけど、渋々出したOKだろうとは私の予測。
だって私が家を空けるということは仕事をサボるということで・・・。

「なによ!だからって後をつけること無いじゃない!やり方が姑息よ!キタナイよ!いやらしい!」

「姑息とはなんだ!」

胸倉を掴もうとヤツの手が伸びてきた時だ、

「ちょっと待って。大きな声出さないで。乱暴はよして頂戴」

その手を掴んで元に押し戻しながら、おゆうさんが割って入った。
そして土方さんともみ合いながら、

「あなた達知り合いなの?」

『知り合いも何も・・・!』

・・・ハモっちゃった。
ってか、

「そういえばおゆうさんも知り合い・・・?」

この人を笑顔で迎え入れたって・・・なんなのだ???

つーか、そのクソオヤジを押さえ込んでる姿、抱きついてるようにしか見えないんですけど・・・?(--;

そんな私の戸惑いなんか眼中に無く、クソオヤジも興奮しっぱなし。

「ゆんべお前の着ていた浴衣、今も物干しにかけてあるヤツ、あれは・・・」

「お察し通り、そいつは私のでございますよ」

わざとかどうか、おゆうさんの口調がぞんざいだった。
我々よりも落ち着いている感じはした。
彼女は既にこの事態の全容を把握しているのだ。

驚きに動きを止めて見下ろす土方さんに、笑顔で見返す余裕。

「一体どういうことなんだ?」

と、彼は呟き、そして次の瞬間、

「幸!」

その指摘に振り向くと、幸が刀を手に裏口から逃げ出そうとしているところ(--;
なにそれアンタ? 何のリアクション?

「すすすすいません!」

中腰で戸口に取りついたまま固まっている。

「逃げるな!そこを閉めろ。お前!喋りやがったな!」

大きい声出さないで!というおゆうさんの声が被さる。

「違いますよぅ!」

「だったらどうしてコイツがここに居る!」

「私は全然知らなかったんですったらー」

半泣き。
何だかそっちはまた別の事情があるらしい。
聞き捨てならない。

「ちょっと待ってよ!喋るって何よ!なんで幸が叱られてるのよ?幸が何を知ってるって言うのよっ!」

ぐっと、土方さんが詰まった。

「幸は私が無理矢理引きずって来たんですっ!おゆうさんとは昨日偶然知り合ったんですっ!それの何処がいけないの?何の文句が有るって言うの?」

うーん、と声にならない声が絞り出されて、彼の勢いが急速に静まるのが判った。
幸は背後で息を潜め、おゆうさんは私の剣幕に目を丸くしながらも、口元に茶目っ気を含めて私と土方さんの顔を交互に見上げている。

「アンタ達、私に何か隠してるわね?白状しなさい!なんで私がここに居るとまずいわけ?なんであなたが血相変えて追っかけて来るわけ?さっさと説明してちょうだい!」&ハナイキ+仁王立ち。


・・・唐突に訪れた静寂に堪えきれずに、ぶーって吹き出すおゆうさん、大好き(TーT)




「偶然てのは恐ろしいわね」

くすくすと、彼女は笑いが止まらなかったっけ。

「おい!」

と、エラそうにたしなめるクソオヤジを、私がにらみ返して黙らせて、それを見て再びおゆうさんがくすくすやり出す。
そういうのを何度か繰り返した気がする。






・・・まだ信じられない。
おゆうさんがあの土方さんの本物の・・・カノジョだなんてぇぇ!!!バタッ(←倒)。

いったい何が悲しくて・・・ああもったいねぇ(涙)。
何かの因果か?何をしたんだおゆうさんの前世(違)。
よりによってあんなクソオヤジと!(泣)

・・・かわいそうだ・・・。
カワイソウ過ぎる。立ち直れない。

ってか、このシチュエーションが立ち直れない~!!
せっかく仲良くなった人がウチのイケズオヤジ(←おっ!新名称!)の恋人だったなんて!!!

・・・いや、違うな。そういう言い回しはちょっと違う。

あの素敵なおゆうさんに、あのクソオヤジが引っ付いてるなんて許せーん!!!って感じだ。

更に形だけにしろ、そのクソオヤジを間に挟んで、三角関係になっていて・・・(呆然)。

私、おゆうさんの仇じゃん!(滝涙)
なんで私が・・・。
立ち直れない。
凹みまくり。

どうしたらいいんだろ。
このまま寝込んでしまいそうだ。

それにつけても土方歳三、許し難い!!!
あんな喰えないキャラしておゆうさんと恋仲なんてぇぇ!(憤死)



・・・・でもいったいどんな顔して口説いたんだろ?(・・・くすっ)


何処で出会ったの?って今度来たら訊いてみようかなー?(←自殺行為)
なんて声かけたの?とかさー。うひひ(壊)。
おゆうさんの何処が好き?とか。きゃー(即斬確定)。


(↑・・・アンタ絶対もう立ち直ってるってば(--;   by幸)





予想はしてたけど、事実を知ったときの小夜の反応はすごかったな。

最初物凄い顔で驚いて、それから拒絶反応を起こして半泣きになったと思ったらモーレツに怒り出して、それから脱力(←腰抜かしたのね・笑)。

・・・まあほとんどヒステリー状態と申しますか。

それがヤキモチから来るものだという事は判るんだけど、そのヤキモチの対象が副長だというところが小夜の小夜たる所以だったり・・・(^^;
普通逆じゃん?

で、今ちょっと壊れ気味なので私が代わりに解説させて頂くということで(笑)。






いやー、まいった。
将軍暗殺計画の主犯が上がって、屯所にも連絡が行っていたはずで、あんなトコに顔を出す暇なんか無いと思ったのに。
読みが甘かった。
さすがに神出鬼没な人だな。

でもやはり時間は無かったらしく、おかげで小言は短く済んだけど(^^;

時間が無いのに、小夜んちに干してあったおゆうさんの浴衣に気付いて、慌てて駆け込んできたんだな。

副長・・・かーわーいーいー♪




でも副長も驚いたろうけど、私もびっくりしたなぁ。
小夜につれられておゆうさんの家の前に立った時は、全身から汗が吹き出たっけ。

何だか嫌な予感はしてたんだよね。
もうちょっと前にやめときゃ良かったんだけど、まさか副長のカノジョ本人の家だとは思わなかったから、こっちも妙な色気出しちゃってさー。

もし近所ならカノジョの家の様子も窺えるかな?とか。
そりゃあ、あの副長のいい人なんて、どんな人か興味があったし。

そしたら近所どころかまさにその家!

びびったなぁ。
どういう巡り合せなんだろ?
おゆうさんの言う通り、世間は狭いというか偶然は恐ろしいと言おうか。

副長の妾と恋人がそれとは知らずお知り合いなんて・・・。
・・・洒落になんない(^^;
しかも私まで同席する羽目になろうとは。

ってか半分望んで同席したんだけどさ。
好奇心には勝てなかったな(^^;
副長に見つからなきゃいいやという読みの甘さもあって。
果たして見つかって修羅場になったけどね(自己嫌悪)。


おゆうさんが寛容だったのが救いだったなー。
アレ、嫉妬心の強い人だったら目も当てられない展開だよね。

彼女は知ってたんだろうか?
副長は小夜のことを話していたんだろうか?

きっと話してなんかいないよな。
少なくても名前とか身体的特徴とか性格的特徴(笑)とかは話していなかったんだろうと思う。
もし聞いていたとしたら、小夜って目立つからすぐそれと判ってしまうし、始めからお互いの正体が判っていたらあれだけ打ち解けられたか疑問だもの。

休息所の存在は話していたか、例えば話していなくても、そういうものが存在するということはうすうす察していたんじゃないか?
小夜と副長の関係も、おゆうさん、利口そうな人だからあの場で彼等の口論を聞いていて察したんだろうな。


小夜の剣幕に驚いてたっけ。
可笑しそうに笑ってた。

そりゃ普段から強面で通してる副長をあんな風に怒鳴りつける命知らずなヤツなんて、私も他に見たこと無いけれど(苦笑)。
しかも言い負かしてるし(汗)。

・・・言い負かされる副長もかわいいけどな。

っていうか、生真面目?誠実?
ちゃんと同じ土俵に乗って小夜とまともに言い争ってるのが子供っぽいんだけど、でもあそこで相手の主張を無視しないところが、あの人のいいところなんだと思う。

女子供の言うことを「小賢しい」の一言で無視して無理を通す“大人”は多いんだよ、小夜ちゃん。

この時代の男の人は得てして女子供に対して横暴だ(いろんな意味で)。
だから例えばあんな場面だったら、「黙れ」と女二人殴られて終わりだったかもしれない。
「身の程を知れ」と引きずり戻されたかもしれない。

ちゃんと向き合ってケンカしてくれるのは、副長が相手に対して誠実な証拠なんだと思う。

良くも悪くも逃げない人なんだよ。

だから私もそんな人との約束*を守り通したかったわけなんだけど・・・。(*=「鬼あそび」強請 参照)

私の知らないところでおゆうさんと知り合ってたんじゃ、不可抗力と言うものだよね。
幸いまだ小夜にバレたってだけだし、約束を破ったわけじゃない。





「あとはお前に任せる」

と、先に事情を了解した副長は、そう言い置いて奉行所に出かけて行った。

将軍暗殺計画の首謀者確保の状況でも確認しに行くんでしょう。
自分で行くなんて彼の身分では在り得ないけど、彼ならやりかねない。

今後の市中警備について、対応策の打ち合わせに呼び出し喰らったのかもしれないし。
そっちのほうが可能性は高いかな(苦笑)。



後を任せられちゃったな。
つまり小夜の追及の矛先がこっちへ向くということだ。

「で、アンタはいつから知ってたの?」

そら来た。
副長の影が連子格子から離れたとたんだよ。判りやすいヤツ。

「去年の冬ぐらい?」

「呆れたー!なんで私に教えないのよ!」

飛び起きた。
今まで上がり框に腰を下ろしたまま座敷にうつ伏せに倒れこんでいたのだ。
副長が居なくなるまで顔を上げなかったし呼ばれても返事もしなかった。

・・・拗ねてたわけだな。

「だってさー、はっきり確認したわけじゃないもん。顔も知らなかったし」

すると今度はめまいを起こした真似をして再び畳に突っ伏した。
大芝居なヤツ。

「今日、アンタに無理矢理連れて来られなければ、私だって知らなかったんだから」

ねー、と、おゆうさんと顔を見合わせにっこり。

おゆうさんって、結構ノリがいい。

はっきり言って、取り立てて美人というほどではない。
でも立ち居振る舞いがすっきりさっぱりしてて品があって、しかもチャーミングで人好きのするかんじ。
小夜が一発で好きになる気持ちは判る。

本当に、どうしてこの人が副長のいい人なんだかなー?と思うと不思議。
あの、いつも苦虫を噛み潰したような仏頂面を思い浮かべると更に可笑しくてならない。

「そんなに気にしなくて大丈夫よ」

おゆうさんがお茶を淹れ直しながら言ったのは小夜に向けて。
言われた方はすぐに反応した。

「だって・・・!」

がばっと起き上がった拍子に、小夜の前髪から小振りの平打ち簪が転がった。
それに気付かないのか、

「私、あの人の妾ってことになってるんですよぉっ!」

「小夜ちゃん、若いし可愛いもんね」

「そんなことないですよぉぉぉぉぉ!!!!!」

こら!びっくりするような声出すな。
そんなタコみたいな顔しちゃって。
あーあ、涙目になってるよ。

簪を拾って挿してやる。

「私、あの人となんか絶対なんでもないですから!ホントですから!」

こらこら“なんか”は余計だよ。相手の立場を考えろ。言葉を選べ。

すると、おゆうさんが立って来て、

「判ってるわよ~」

おどけたような唄うような声で、そう言いながら簪を挿し直した。

なるほど。そのほうが可憐に見えるな。

「お茶飲んで、落ち着いて。ね。こっちいらっしゃい」

笑顔が優しいんだよね。
笑った目元が沖田先生に似てる。・・・気がする。

明るい笑顔に救われるんだな。
小夜が鼻水まみれで泣き出すのも致し方無いか(^^;




またおいで、と慰められて小夜のヤツ、子供のようにコロリと笑顔になったっけ。
誤解されずに済んだと知って、ほっとしたのかも。


だから洗濯物が乾かずに生乾きのまま取り込んだ後も、夕飯用に苦手な鮎料理が届いた時(しかも何故か三人前!汗)も、ずっと上機嫌だった。
だからまさかこんなことになるとは・・・。





一応、

「どうして今日はここでご飯食べるんですかー?」

と小夜は相変わらず失礼な台詞を吐いてたけど、二人きりじゃないのが嬉しかったらしく、不満そうな表情は無かった。

それはつまり私と小夜と副長という、物凄く微妙なメンツで飯を喰うという・・・・(--;

私としてはとーっても遠慮したかったんだけど、夕飯が三人分ってことは副長の意思が働いていることだと思ったし、結構ご機嫌な小夜の表情からして逃げ出すのは到底無理かと・・・(TーT)。

「どうでも今夜は屯所に居るなと言われたからな」

副長は珍しく酒を飲んでいた。
一仕事終えた祝杯の意味なのか、いつもここで食事の時は飲みながらなのか判らない。

屯所から追い出されたというのも、どういう意味なのか判断に迷う。
聞き出すのもなんだか失礼だし、と思っていた時、

「誰に?」

自分用に揚げた茄子の天ぷらを齧りながら、あっさりと小夜が問うた。
・・・コイツ、無敵だよな((--;

「お前のご贔屓筋だ」

「山崎さん?」

ああ、と低く頷いて、副長は杯を舐めている。
部下に休息所に行って来いと言われたのがまんざらでもない様子。

きっと夕べは情報待ちで寝てないのかもしれない。
今日も関係諸方に駆けずり回って・・・。

山崎さんが気を利かせたんだな。
それを歓んでいる。

「ふーん」

小夜は判ってるんだか居ないんだか。
膝元で猫マンマ(ぬた御飯バージョン)を食んでいるフクチョーの頭を撫でながら、

「じゃあ今夜はここに泊まるのね?」

言われて、自酌していた副長が目を上げた。

「だって前の時もそうでしょ?山崎さん、その辺で見張ってるんじゃないの?」

小夜はまだ、フクチョーの耳の後ろを撫でている。

副長がこちらを見た。
なにげにキツイ視線。
なんか、・・・何かを求められてるような気がする・・・(--;

「な、なんでそう思うの?」

副長の代わりに聞いてみる。
たぶんそういう指示なのだ(爆)。

小夜は豆腐と茗荷の味噌汁に手を伸ばしながら、

「だって前もそうだったもん。ここに来たフリしてどっかに出かけて行ったの。アレって今思えばおゆうさんのとこだったんだよね?それがバレたんだか知らないけど、山崎さんに見張られてたんでしょ?」

うふふっと笑って味噌汁を食べてる。

ご機嫌なのだ。
相手の反応なんて気にも留めてやしない。

副長の機嫌は・・・そんな小夜とは反比例気味だし。

・・・この二人、判りやすっ!!(^^;

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