もう45年以上前から管理人の脳内に住み着いてるキャラクターの、稚拙な妄想小説のお披露目場です。
ご笑覧下されば幸いです。

・時系列に置いてあります。
・但し最新作は先頭に。
・中断&書きかけ御容赦。
・感想&ツッコミコメントは「田毎の月」へでもこちらへ直接でもOKです~vもちろんメールでも。

・暇つぶしにネタばらしブログもどうぞ→管理人ざんげ室 

縁側で気の早いお月見。
十三夜の月は雨上がりの澄んだ夜空にぴかぴかしている。

それにしても障子一枚隔てただけなので話の内容は聞こえているんだけどね。
それはOKらしい。
人払いする意味って何?
この時代の人のすることってよく判らないことが多過ぎる。


風呂の火加減を見つつ寄ってくる蚊を団扇でバタバタ追いながら、縁側で幸と並んで聞いた話はなかなかすごい。


将軍暗殺計画の首謀者は京都守護職の警備管轄区域に潜んでいる。
それは先ほど幸に聞いた通り。

だがもともと守護職は自己の手勢(=会津藩士)に捕り手の真似はさせたくないというのが本音。
そのために新選組が居るわけだし、実際今日までに検挙した暗殺計画実行犯達は新選組の屯所に預かっている。

そこへ降って湧いたような警備区域割の達し。

これは新選組が大坂に人員を裂いていて在京の人数が少ないのも無関係ではないが、今まで見廻組との警邏中の小競り合いが耐えなかったことに対して、見廻組側が守護職へ願い出た結果と思えなくもない。

場所的にも見廻組の担当区域は守護職のそれと隣接していて(これは身分的に仕方ないとは思うけどね)、今回の犯人の潜伏場所とも近い。
犯人の動きによっては見廻組に手柄が転げ込む可能性も大きい。

しかしその潜伏場所を探し当てたのは自分等だ。当然この事件は最後まで自分達が手がけるのが筋だし、今更手柄を逃すなど許されない。

実際には、

「おめぃら癪に障らんか?」

という言い方だったけどね。
利かん気な上司ではあるな。

だが表立って見廻組とは争えない。

「佐々木さんとは懇意なのさ」

と聞こえて来たので、

「佐々木さんって?」

と小声で横に訊いたら、

「見廻組の組頭。佐々木只三郎って人。会津藩の家老の弟なんだって。江戸の旗本の養子に入って佐々木さん。そんなわけで会津藩の信頼は厚いんだよ。そういうとこ、副長的には面白くないかも」

咳払いが聞こえて押し黙る。
再び話が始まるのを待って、

「でも今、懇意だって言ったじゃん」

これはクチパク。
幸もクチパクで、

「ポーズだよ、ポーズ!」

「I see.」

声が出た。
でも言葉と認識されずにスルー。



表立って争えない見廻組をどうやって出し抜くか。
つまりそれがこの打ち合わせのテーマなわけだ。

「都の外へおびき出せ。大津への街道筋でも良い。区割りの外なら手出しもできる」

なるほど。
そういう手ですか、と納得しそうになったところへ、

「出来なきゃ幕府の役人の支配地に追い込め。見廻組に取られるよりましだろう。どうせ奴さんたちは下手人を捕まえたとてそこでお手上げだ。あとの始末を頼むと泣きついてくるのは判りきってる」

見廻組に取られるより・・・って。
勝気・・・というより大人気なくはないか?(--;

「幕吏に勝ちを譲るなら左程腹も立つまい」

・・・って自分がだろ!と突っ込みたかったり。

しかもこの打ち合わせをここでやってるって事は当然新選組内部にもオフレコってことで・・・。






「もしかして近藤先生にもオフレコ?」

「当然。知られたら副長が叱られるんじゃない?近藤先生って直球勝負な人だから」

「それって土方さんが近藤先生の指示を仰がずに勝手に部下に命令出してるってことじゃないの?」

「まあ、形としてはそうかな。でも局長が言葉にして言えないことを副長が補っているとも言える。そのせいで誤解されることも多いんだけど」

男どもが帰っていった後、もう一度寝床の仕度をする。

幸は最後まで斎藤先生に「遠慮しろ」と(つまりウチに泊るなってこと)食い下がられてちょっとお疲れ気味。


代わりに私が、

「しつこいと昼間私のこと家まで送ってくれなかった~!ってバラすぞー」

と小声で斎藤さんを脅迫し、

「それはアンタが勝手に・・!」

と、ほとんど取り乱しながら彼が言い訳(実は真実)しようとしたところに、重ねて土方さんが、

「コイツ等のことは放っとけ。俺は端から戻るつもりだ。こんな面白い夜に屯所を空けていられるか」

渋々土方さんと連れ立って帰っていった斎藤さんの不満げな顔が可笑しかった。

「斎藤先生をあんな風に慌てさすなんて、アンタってヤツはオソロシイ!」

幸に呆れられたっけ。



斎藤さんは屯所へ戻ってようやくオフらしかった。
山崎さんは一足先に夜の巷へ仕事をしに戻っており、家の中もようやく静か。

「私、先にお風呂使っていい?」

と幸。半分あくびになりながら。
湯上りは今度こそ甚平でOKだなvv



翌日は余り天気が良くなくて気温もそれほどではなかったので、単の着物もなんとか着れた。

持っていた浴衣のうち二枚を甚平にし、残りの一枚を泥んこにしておゆうさんのところへ置いて来て、借りた浴衣はそのまま返すのも礼儀としてどうかと思ったので、今洗濯(丸洗い)したところ。
なので着るものが無かったのだ。

夏らしくない空模様に幸は空を仰ぎながら、

「夕べはあんなに晴れてたのにね。戻り梅雨ってやつかもしれないねー。洗濯物、乾かないかもね」

と言い置いて、ジョギングがてら(呆)河原町の呉服屋(太物屋)へ。

夕べ山崎さんに、浴衣が欲しいんだけどー、と言ったら、既に上司(つまり土方さん)から頼まれていて(やっぱり・汗)、二枚ほど注文済みと言う。
ただ、幸の分もあるし、枚数が欲しいといったら追加OKの返事を貰ったのだ。

なので幸に萩の葉柄の反物を見繕ってもらうように頼んじゃったーvv
白地と紺地。うふふ、楽しみー。



掃除、洗濯と、朝の一仕事を終えた頃に幸が帰ってきた。

「鯖寿司買って来たよ。それからホットニュースもある」

「ニュースも買って来たの?」

お金を払ってどこかから情報を得て来たのかと思ったら違った。
昨日行った露店の並ぶ界隈で、またいろいろ聞き込んで来たらしい。
早く喋りたくてうずうずしながら駆けて来たみたいだった。
息を弾ませて、頬が紅潮している。

「どうやら捕まえたらしいよ、主犯格。第一報が入ったところへ居合わせちゃった!屯所へはもう他の人が連絡に行ってるはずだ。早いでしょ~?」

将軍暗殺計画の首謀者が捕まったというのだ。

「潜伏場所から出たところをつけて行ったらしい。犯人は大津へ向かう途中だったみたいだ。結構あっさり捕まったみたいだよ」

で、問題は誰が捕まえたかってことなんだけど。

「それが、町奉行の手らしいな。新選組じゃなくて残念だけど、まあ見廻組に気を使ったってことかもね」

なるほど。土方さんの思惑は大方通ったってことか。
でも、

「気を使ったというのは近藤局長の意向を汲んだということなの?」

「局長の意を汲んで、副長的にはちょっとまあ妥協したのかな?さすがにそんな内情までわかんないけどね。飽くまでも推測」

そこまで言って、彼女は腰の刀を外し、縁側に腰を下ろして大きく伸びをした。

「でもこれで少しは安心だ。将軍様を迎える方も、例えばこの先何か事件が有ったとしても、これで面目が立つ」

そのまま寝転ぶ。
深呼吸に胸が上下している。
嬉しそうだ。顔が笑っている。
達成感があるんだろうな。

きっと彼女はもう組織の人になってるんだ。
新選組の名簿に名前は無くても、その達成感を共有できるポジションに居る。
しかも面目大事の武士社会に染まってきてるみたい・・・。

「面目が立つ、って「言い訳ができる」の間違いじゃないの?もし何かあったとき「警護の者は何もしていなかったじゃないか、」ていう非難に対しての言い訳」

「まあね。そうとも言う」

自嘲気味な言葉とは裏腹に満足げな表情。

「何にせよ、みんな一生懸命なんだよ。みんな・・・」

まっすぐ天井を見やりながら、呟くように言った。

そりゃあ、一生懸命じゃないのは私ぐらいなもんだけどさ・・・。




借りた浴衣が乾かないとおゆうさんのところへ行く用事も無くてちょっとがっかりしてたんだけど、幸の買って来た鯖寿司を見て思い立つ。

「これ持っておゆうさんち行こう!みんなで一緒にお昼食べよう!」

幸はちょっと引き気味。

「私は遠慮しとくよ。初対面でイキナリ一緒にお昼ってのもなんだかさー。私洗濯物の番しといてやるから。ホラ、雨降るかもしれないし・・・」

物干し竿にかけた浴衣の端からひっきりなしにポタポタと水滴が落ちて、地面に水溜りが出来ている。
空は曇天。明日乾くかどうかも保証は無い。

でも、下駄だけでも先に返しに行ったっておかしくはない。

「一緒に行こうよぅ。紹介したげるからさぁ」

「いいってばー。私まだ筋トレのメニューこなしてないし・・・」

会ってもいない人に対して妙に人見知りしている幸に、首に縄つけて(ウソ)引きずって行く。

でもこの人見知り、彼女なりに勘が働いた結果だったのだ。
それは後で判る。




観念した幸がタメイキをつきながら、

「それで、アンタは自分のこと、なんて自己紹介したわけ?」

足駄を鳴らして付いてくる。

「あれ?教えなかったっけ?」

「夕べは誰かさん、コーフンしてその人のことばっかり喋ってたからさー。自分のことはなんて話したのかと思って」

男の格好の幸は私と並んで歩くより前後して歩く方が自然に見える。
この場合、後に付いて来ているので、「女主人とそのヒモ」風?(笑)。
いや、自分で茶化しちゃイカンな。お嬢様と用心棒風とでも申しておきましょうか。

「関東方面から流れて来たって言っておいた。子供の頃から流浪の旅だったので出身は何処だか判らないって。」

「上手い!」

「でしょ?あんたもそうしておいてね。一緒だったって事で」

「売られるところを逃げ出した、とか?」

「そうそう」

「ベタだー!」

ぎゃははと笑う。

「今はちょっと訳ありで事情は話せないって言ってあるし」

それを追求もしないおゆうさんの性格も好き。

「きっと向こうもどういう人間なんだろ?って思ってるよ。見た感じお嬢様でもないし奥様じゃないし女中でもないし玄人でもないしさー。強いて言えば見世物小屋から抜けてきた水芸の・・・」

引いてた割には楽しげに喋りながら歩いていた幸が、不意に言葉を切った。
何だろうと思って振り向くと真顔。

「どうしたの?」

「アンタの言ってるおゆうさんって人のウチ、ここらへん?」

「そう。この角を曲がったところの表長屋」

立ち止まると、抱えた鯖寿司の包みから酢飯の匂いがしてくる。
お腹鳴りそう。
幸は無言で、なにか思案している様子。口元に力が入っている。

「どうかした?」

「いや、いいんだ。行こう」

しかし、目的の家の前で格子戸に声をかけようとしたら、再び待ったをかけられた。

「なに?どうしたの?」

見れば更に顔が強張り額に汗が浮いている。

「やだ、何?具合悪いの?」

「そうじゃなくて・・・」

何がそうじゃなくてだ。顔色悪いぞ。
こりゃ大変!と、返事を待たずに格子戸を開け、

「ごめんください!おゆうさん居ます?」

助けを求めようとしたのだ。
なのに幸ったら何を思ったのか、

「ごめんっ!私やっぱ帰る!」

踵を返して走り出そうとした。

「ちょっと待ってよ!中に入れてもらったらいいよ。おゆうさん!居ませんかー?」

片手に鯖寿司の包みと借りた下駄を一緒に持って、開いている手で幸の二の腕を掴んで踏ん張りながら、家の中に声をかけるが返事が無い。
その間にも怪力女(失礼)に引きずられ始めて下駄が脱げそう。

「もう!ちょっと待ってよ!なに子供みたいな事言ってんの!ここまで来て帰るだなんて。アンタ何かおかしいんじゃない?」

「ごごごめんよー!それでも私は行かねばならぬのだー!帰らして。お願い。武士の情け~!」

「ナニ言ってんのよ、ちょっと!ふざけてるの?放すもんですか!私は武士じゃないしー!情け容赦もあるまいぞー!」

と、押し問答をしていると、

「小夜ちゃん?」

その声は、

「おゆうさん!」

昨日と同じ浴衣姿で、手にはまた風呂敷包みを抱えている。

「もしかして待ってた?ごめんなさいね。いつも仕事を貰ってるお店から呼び出されて、ちょっと留守にしちゃって。・・・そちらは?」

するとどうだ、おゆうさんの出現に凍りついたように固まっていた幸が突如向き直って居住まいを正し、

「小夜の友人で幸と申します。昨日はコイツが余程お世話になったようで、礼を申します」

涼しい笑顔でぺこりと頭を下げたではないか。

なんだコイツ!へんなの。
挙動不審!





「聞いてたわよー。女のクセに男の格好してるんだ・・・って。幸さんって言うんですってね?」

はあ、とかなんとか、幸は忽ち鼻の下伸ばしちゃって・・・。
頬っぺた赤くしてしまりの無い笑顔。
勧められるままに土間から座敷に上がりこんでる。

私はと言えば隣の、表に面した仕事部屋で、今しがたおゆうさんが仕事として頼まれてきた反物を見せられているところだった。
新しい畳の匂いがまだ濃ゆいー。

「これなんだけどね」

藍染の木綿の風呂敷を開けて見せられたのは、浴衣地。
白地に藍でかなり大きな萩の葉。総柄。

「すてきー!私もこんなの欲しい!」

すると彼女はくすくす笑いながら、

「これもしかして、小夜ちゃんのじゃないかと思って」

「へ?」

「今度来たら教えてあげなくっちゃと思ってたとこだったのよ。だって着丈が五尺三寸五分、裄が二尺一寸五分もある女物なんて、そうそう無いじゃない?私だって昨日のあなたの着ているのを見るまで、今まで見たこと無かったんだもの」

微笑った右頬にエクボができる。
すると、

「あー!それってもしかして大丸さん?」

ひとり座敷にかしこまっていた幸が、素っ頓狂な声を上げて寄って来たではないか。
どれどれと私達の間に割って入って来て、

「これ、今朝私が選びました」

かしこまり具合が可笑しいんだけど。

おゆうさんに、やっぱりー!とウケたのが嬉しかったのか、幸さん得意げ。
心なしか小鼻が広がってる気がするんだけど。
さっきまでの及び腰は何だったのか。

・・・ってかコイツ何者?(爆)。

「それじゃあ、やっぱ私のだって決定じゃん」

ま、それはそれで嬉しいvv
好みの柄だし。幸ちゃんありがと。


でもよく見たら生地は四反ある。
白地に大柄の萩の葉のヤツと、紺地に中柄の萩、それから同じく紺地に露草と、白地に撫子だ。

「こっちの二反は、山崎さんが頼んだってヤツかしら?」

「そうだろうね。新選・・・ごほごほ、・・・彼はいつもそこに頼むらしいから」

幸、風邪気味かな?
と、その時は思った。

「でもなんでいつも花柄にするんだろ。子供っぽくて嫌だな」

「そりゃアンタ、山崎さんの趣味だもん」

「花柄がぁ?」

「そうじゃなくて。アンタを可愛く着飾らせるのが、さ」

可愛く可愛くと言ってから、私を見て・・・・吹き出すなよ!

「キャラ間違い!」

「うーるーさーいー。人のこと言えんのか!」

「私はキャラに合ってますぅ」

首をすくめて舌を出した。
くやしー。

「じゃあこの撫子、アンタの専用にする!」

「うぇっ?なんだよー。嫌いな柄押し付けんなよなー」


「でも一度にこれだけ仕立て下ろしを着られるなんて幸せじゃないの」

私等がきゃあきゃあやってるのを笑いながら、おゆうさんは台所に立っていく。

「ですよねー!柄がイヤだとかって罰当たりですよねー」

すかさず幸が追随。
呆れた。おゆうさんの前だからっていいカッコしやがってぇ。




ちゃぶ台とかテーブルというものはこの時代、たぶん私んちにしか無い(笑)ので、長火鉢の縁をカウンター代わりにランチ。

「悪いわね、私までご馳走になっちゃって」

水茄子の漬物を出してくれて、お茶を淹れてくれながら、おゆうさんはそう言ったけど、

「こちらこそ突然押しかけて、図々しくてすいません。小夜がどうしてもと言うもんで」

・・・自分だって楽しんでるくせに。

確かに言いだしっぺは私だし、食べてるのも幸の驕りの(?)鯖寿司だしな。ここは大人しくしていよう。
思った通りに彼女もおゆうさんを気に入ってくれたみたいで、それが嬉しくて黙って会話を聞いていたかっただけなんだけど。

いつも私と二人の時はお姉さんキャラな幸が、おゆうさんには心持頬を染めて照れながら話すのが、なんだか年相応に見えて嬉しかったのだ。

いつも着てる衣装はどうしてるのか?とか、下帯はどうしてるのか?とか、質問攻めになって汗をかいているのを、横で笑い転げながら聞いていた。



もうほとんど食べ終えるというころになってようやく本題。

「昨日借りた浴衣、洗ってから返そうと思ってぇ・・・」

「あら、そのままで良かったのに」

そう言いながら私の泥んこの浴衣は洗って長屋の裏手に干してあると言う。

「そういえば小夜ちゃんのもきっとまだ乾いてないわよ。下駄も洗って干しておいたけど・・・」

と、様子を見ようと思ったのか、彼女は土間に下りて裏口へ向かおうとし、それから何かの気配を感じたらしく、ふと表を見やった。


表玄関も各部屋の障子も全て開け放たれてはいたのだが、私と幸は玄関を背にしており、更に部屋の隅に寄せられた襖がちょうど死角になって、そちらは見えていなかった。

見えていない玄関に、誰かが立ったのだ。

「あら?珍しいわね。こんな時分にどうしたの?」

にっこり笑っておゆうさんが声をかけ、小走りに迎え出た。
私は幸と顔を見合わせ頷いて、

「お客さんでしょ?私等はもう失礼しますから・・・」

邪魔になってはいけないと思い、辞そうと座敷から通り土間に顔を出して玄関を見た。

表は薄日が差し始めていた。
なので逆光だったのだが、立っているのが男の人だとはすぐ判った。

背が高い。玄関の鴨居に元結が付きそう。
シルエットで刀を差しているのが判った。

お武家?と思った瞬間、

「てめぇ!ここで何してる!」

大声ではなかったが腹の底から鋭く一喝。

連子格子を後ろ手に閉めて、驚いている様子のおゆうさんを脇へ押しやり、土間の暗みへ入ってきたのは、

「土方さん?!」

なんで?!なんでこの人がここへ現れるわけ?

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