もう45年以上前から管理人の脳内に住み着いてるキャラクターの、稚拙な妄想小説のお披露目場です。
ご笑覧下されば幸いです。

・時系列に置いてあります。
・但し最新作は先頭に。
・中断&書きかけ御容赦。
・感想&ツッコミコメントは「田毎の月」へでもこちらへ直接でもOKです~vもちろんメールでも。

・暇つぶしにネタばらしブログもどうぞ→管理人ざんげ室 

注!

この物語は管理人の気まぐれにより、本文中に主人公(=一人称)が入れ替わります。ややこしくてすみません。
なので、判り易くするため、文字色を変えてみました。

青字=幸  赤字=小夜
ということでひとつ、よろしくお願い致します。

それでは、改めまして。







何が何だか判らぬうちに長州征伐も終息した慶応二年の秋のこと。
とはいえまだ紅葉狩りにはちょっと早い、九月も半ばを過ぎた頃のことのことだった。


西本願寺の境内を新選組の屯所と一般参拝者用に仕切る竹矢来の向こうで、何やら見たことのある人影がこちらの様子を窺っている。

斜めに組まれた竹矢来の桝目の列をスケールにしてみれば、背が高いのは一目瞭然。
手持ち無沙汰に外を眺めている勤務明けの隊士達の頭より上なのですぐそれと判る。

それに何よりあの姿、あの頭(髪型)、あの動き!
人目に留まらないわけが無い。

「ちょっとアンタそこで何やってんの?」

咎められるより先に私が声をかけねばどういう事態になったことやら。

「へへへ。覗きぃ~v」

竹矢来に取り付いて、嬉しそうに手を振った。
水色の着物の袖口から覗く襦袢の赤が鮮やかだ。

「もお~!こんなとこ来ちゃダメじゃん。目立ってるよ。見つかっちゃうよ!」

「そう・・・?」

自分の居住まいを見直して肩をすくめた。

そのすっきりした無地感覚の小紋に黒繻子の帯を合わせた着物の好みも、襟足を膨らませない軽快な印象の、根の高い変わり島田も、何よりバタバタしたその立ち居振る舞いがいちいち目立ってるっていうのに、本人はとんと気付いていない様子なのだ。

着物着て髪結ってるから大丈夫、くらいに思っているに違いない。

「とにかく今そっち行くから」

竹の囲いの反対側に回る。

西本願寺の屯所と小夜んちとは歩いて十分足らず。
なので可能性が無いわけではなかったが、まさか本当にこんなところで彼女の姿を見るとは考えもしなかった。

屯所に出入りしてはいけないと、禁止事項としては特別言い渡されてはいなかったろうけど、副長の身内がのこのこ屯所へ参観に来ちゃいけないのは常識の範囲だろう。

・・・彼女を常識の範囲でくくる方がいけないか(--;


「ごめーん。お天気良いからさ。遊びに来ちゃった。見つからなきゃいいかなと思って。びっくりした?」

副長の妾とバレなきゃいいってことか。
付近にぶらつく隊士達の視線を感じつつ、ちょっと離れて小声になる。

「副長、今屯所に居るんだからさー。隊士達が騒ぎ出したら事だよ。アンタの顔、知らない隊士ばかりじゃないんだから」

古参の隊士の中には、前の屯所で下女をしていた時分の彼女を見知っている者が居るし、副長のお手掛け殿は背がすらりと高くて絵から抜け出たような美人(!)だと、噂だけは広がっているのだ・・・。

噂の出所は大体見当がつくけど(きっと沖田さんあたりだな)、でも美人ってのは言い過ぎじゃないか?

小夜はどっちかと言うとファニーフェイス系なんだけど。
少なくてもこの時代の美人と言うには当たらないぞ。
でもおきゃんでお転婆なところが関東勢好みではあるかな?

絵から抜け出たような、ってのは(体型の)縮尺的には合ってる気がするけどな(笑)。

騒ぎになった方が面白いのに、とでも言いたげに小夜は肩をすくめて口元を尖がらせ、

「で、アンタは何してたわけ?ウチに来るのかと思って待ってたんだけど」

「ああ、ごめん。私はこれから斎藤先生の休息所まで・・・」

と言ってしまってから、しまったと思った。
斎藤先生が休息所を持ってるなんて事、小夜に知れたと判ったら斎藤先生がなんて言うか・・・。


これは私だけの、単なるカンなんだけど。
斎藤先生って小夜のこと気に入ってるんだよね。
気に入ってるというか好意を持ってるというか。
平たく言えば「好き」ってことなんだけどさ。

なのでたぶん、自分の女癖のことは知られたくないんじゃないかと思うわけだ。

弟子の私が言うのもナンだけど、斎藤先生、女には甘いから。
甘いというのは優しいというのじゃなくて、だらしないという意味で。

実は斎藤先生、花街から落籍して囲っているのが複数名!居るし、素人筋にまで関係者(苦笑)多数っていう、・・・まぁ噂だけど(そりゃいくら私だって全部ウラは取れませんし)。

・・・別にいいんだけどさー。
女の人とどういう付き合い方しようと剣の道とは別だからさ(ていうか、そう願いたい・汗)。

でもたぶん、彼としてはそういう事実を小夜には知られたくは無いんじゃないかと。
良いかっこして居たいんじゃないかと。

なので私がそんなことをバラしたと知ったら・・・(怖)。


「へー、斎藤さんって休息所在ったんだぁ」

案の定、小夜は素直に驚いている。
やばい。

「ま、まあね。幹部は大体みんな持ってるから。ああ、その後アンタんとこへ行くつもりだったんだ」

なんとかごまかし、突っ込ませずに会話を押し切ったつもりだったのに、竹矢来の向こう側から声がかかった。

「おう、幸。今からか」

当の斎藤先生が現れちゃったよ。

今からか、というのは私が自分の頼んだ用事で出かけるようとしているのを察したということで。

それは何かというと、つまり、ここしばらく帰っていなかった休息所の彼女に、夜勤明けに必ず行くと言ったらしく。
でも実際は仕事明けに島原に行ってしまったらしく。

今夜また夜勤なので、五つまでに戻らなかったら伝言を頼むと言われていたのだ。

帰りを待ちわびる彼女に、今日も行けなくなったっていう伝言だよ(--;
とんでもない仕事でしょ?
そんなの私に頼むなよ、と言いたい(でも言えない力関係)。

私が返事をする前に、彼は小夜の存在に気付き、

「しばらくです。こんなところで会うとは珍しい」

どうでもいいけど、斎藤先生って案外相手によって態度変えるタイプかも。
小夜と話す時は余所行きモードに加えて満面のウェルカムモード(笑)。

いや、先生のことですからほとんど表情には出ないんだけどね。
判るんです。
もうかなり付き合い長いんで(苦笑)。

「ほんと、久しぶり。どこ行ってたの?」

にこにこしながら小夜ってばキワドイ切り返し。

たぶん、自分の知らない間、どこへ姿をくらましていたのか?という冗談であったんだろうけど、相手が島原帰りの斎藤先生なこの場合、本人の意図するところとは別にキツイ一発になっちゃってるところがなにげにスゴイ。
たった一言で相手をあたふたさせてます。

額に変な汗を浮かせつつ、斎藤先生が言葉を選んでいると、

「休息所?」

・・・いきなり爆弾発言!

すんなり伸びたうなじを風になぶらせて、可憐な笑顔で言う言葉なのか(--;

耳まで(否、月代まで・笑)赤くなった斎藤先生を見るのはこれで二度目か。
珍しい場面を見せて頂いて可笑しいやら、その本人に睨まれてビビリまくるやら、私の情緒は混乱しまくり(^^;。

「幸、お前余計なことを・・・」

苦し紛れの矛先がこちらに向く。

「あわわわ・・わわ私はあの、先生の言いつけに従ってこれから出かけて参りますのでどうぞごゆっくり」

ずらかろうとしたら、

「おい!待て」

「ちょっと待ってよ!私も行くー!」

二人揃って呼び止める。
っていうか、「私も行く」ってアンタ・・・(--;

振り返ればもう追いかけて来てるし。
その後ろで斎藤先生がめちゃくちゃ焦りまくって止めにかかってるし。

「ま、待て小夜さん!」

竹矢来の向こうから手を伸ばして、辛うじて小夜の着物の袖を掴んでいる(笑)。

「何?いいじゃん。私、幸と夕飯の買い物しながら帰るつもりでいたんだもん。大丈夫。斎藤さんの休息所に寄るぐらい。遠回りになったってちっとも困らないよ。急ぐわけじゃないから」

ケロリと言ってのける。
ちっとも困らないって・・・そりゃアンタはな(^^;

「そ、そんな・・・あんた・・!」

斎藤先生のこんな上ずった声、聞いた事無いぞ。
人格崩壊寸前だよ(^^;

彼は必死に掴んだ袖を手繰り寄せ、小夜の腕を掴んだ。
その手と相手の顔を交互に見ながら、

「大丈夫よ。ちゃんと挨拶ぐらいしますって。粗相なんて致しません」

得意満面の小夜のトンチンカンな理屈に圧倒されて、先生、二の句が継げない体。
ぐぐぐ、と言葉に詰まっているところへ、

「お困りのようですな」

一部始終のどの辺りから見ていたのか、懐手をした沖田さんが頬を緩ませて、斎藤先生の後ろからぶらぶらと近付いてきた。

言われて慌てて小夜の腕を放したってことは先生、我を忘れていましたね?(笑)。

気がつけば遠巻きに結構人が見ているではないか。
ってことは、これ以上見逃せずに声を掛けたと言うことなのかな?

斎藤先生は必死に平静を装いながらも苛立ちを隠せずに、

「お困りも何も、あんたが遅いからこんなことになっている。時間通りに来てくれれば俺はもっと早く戻って来れたんだ」

「そうでしたね。申し訳ない。でもそんなところから良く戻って来れましたねぇ?」

何が面白いのか、まるで他人事のように沖田さんは白い歯を見せて笑う。
彼のあっけらかんとした物言いに、斎藤先生も気が抜けたのか、

「戻って来なきゃしょうがないだろう。これから巡察なんだからな。あんたの代わりに店の者を置いて来た。早く行ってやらんと原田さんにとって食われるぞ」



実はついこの間、ちょっと厄介な事件が解決をみたばかりで、それまでの緊張感が解けた隊士達が打ち上げ気分で、ある遊びを始めたのだった。

リレー将棋in島原。

永倉新八+井上源三郎+原田左之助チーム(年長チーム)対、藤堂平助+斎藤+沖田チーム(若手チーム)で、三日三晩将棋を打って勝敗を決めるらしい。
そんな長丁場、体力勝負なら若手が有利だと思うんだが(笑)。

組長達の対戦ということで、各組の所属隊士達も応援部隊として島原に繰り出している。
綺麗どころも加わって、さぞや盛り上がっていることだろう。

チーム内での交代は可能らしいが、仕事の交代時間の関係で斎藤先生はギリギリで上がってきたというわけ。

「原田さんかぁ。なんで私の対戦相手が原田さんなんですかねぇ?」

「知らんよ。永倉さんが決めたことだ。逆らっても仕方あるまい」

永倉さんっていい人なんだけど、割とワンマンなんだよね。
真っ正直過ぎて扱いづらいし。
なので機嫌を損ねると後が面倒ってことらしい。

「永倉さんと平助が始めたってことですかい?」

この時は永倉さんと藤堂さんの巡察の時間帯が一緒で、仕事明けに一緒に島原に流れたってことらしい。

ちなみに島原、西本願寺の屯所からは歩いて十分もかかりません。
それが目当てでここに屯所を移したのかと思うぐらい(^^;

「平助も断りきれなかったんだろ」

「そうかなぁ。あいつ負けん気だけは人一倍だからな。それにしても斎藤さんも人が良いですよね?なにも続けなくったって、そこでやめちまったって良かったのに」

「だから永倉さんに逆らってもしょうがないだろう。俺の前は永倉さんなんだよ」

市中の巡察の順番がそのまま将棋の順番なのだ。

「あ、そうか」

ふん、と斎藤先生が相手の察しの悪さに、鼻から溜息をついた。

「斎藤さんって存外年長者の言うことは聞きますもんね?」

溜息を吐かれた沖田先生、切り返しのつもり。
言われた斎藤先生は会話を続けるのも面倒そう。

「存外って・・・。当たり前だろう」

そりゃ常識ですよね。

「でも私も年長なはずなんですけどねぇ」

あ、そうだった。
実はこの方、斎藤先生より二つ年上なのだった。
そうは見えないけど(笑)。

「あんたは別だな」

しらじらしい、という風に斎藤先生が失笑。
沖田さんが鼻息を荒げて見せた。

「なんですかそれは!失敬だなっ」

そのくせ、口で言う程失敬だなんて思っていない。
面白がっているだけだ。

この人は斎藤先生のコメントを聞くのが可笑しくてならないのだ。
それが証拠に顔が笑っているのを抑えきれていない。

「あんたが先に失敬なことを言ったんだろう?年長なら年長らしくしてくれないか」

そこまで言わせるなとばかりに嫌な顔をして見せるのを、可笑しがって吹き出しかけている。

「年長らしくないですかねぇ」

笑いを抑えているので肩が激しく揺れ出して喋り方が大仰になってしまっているのを気にも留めず、斎藤先生は、

「さっぱりだな」

無表情に一刀両断。
言い捨てた。

いいなぁ、間髪を入れない突っ込み。
受ける相手も大笑い。
あとくされが無い。

沖田さんは改めて普段のままに笑いながら、

「でも、島原から付け文が来るなんて初めてだったんでびっくりしましたよ。どきどきしながら開けたら斎藤さんからだったんでがっかりしたけど」

横で小夜が手を叩いて笑い出した。
それを見た沖田さんはがぜん勢いづいて、今度は彼女を相手に畳み掛ける。

「可笑しいでしょう?それがねぇ、ちゃんと香を焚き染めた、墨流しに金粉のキラキラした立派な紙なんですよ。どこの花魁がよこしたのかと思ってクンクン匂いかいでたらこれが斎藤さんの字だ」

小夜が壊れたように爆笑してます(汗)。
よろけて竹矢来につかまりながら大爆笑してます。

「ふん。馴染みも居ねぇくせにいきなり太夫から付け文なんか来るわけ無ぇだろ」

斎藤先生が忌々しげに横でぶつぶつ言ってるのが余計可笑しさを煽る。
その間にも沖田さんの喋りは止まらず、

「島原に来て酒もろくに飲めないし、女も抱けない。馬鹿らしくってやってられないから俺はもう帰る。お前代わりに出て来いっ・・・て」

たまらず斎藤先生が後から袖を引いた。

「沖田さん、余計なことは言わんでいい」

その斎藤先生のうろたえぶりも可笑しかったのか、小夜ってばもう自力で立ってられないくらいヘロヘロに笑ってます。

「もう俺は行くからな。幸、お前も早いとこ行って来てくれ」

そう言って斎藤先生が歩き出したのは、自分のバツの悪さを誤魔化すためではなく、周りの状況を見たからだ。

小夜が目立ち過ぎている。

既に遠巻きにではあるけど人だかりが出来かかっている。
竹矢来を挟んでサミット(=山頂。四人とも背の高さは人並み以上だし・笑)を開いてる場合ではない。
つまりは散会しろということだ。

そういう斎藤先生の考えはすぐに判ったので、返事をして走り出しかけると、

「幸、お前どこ行くんだ?」

再び、今度は沖田さんに呼び止められる。
それを聞きつけて、

「俺が野暮用を頼んだのだ」

本願寺の屯所の建物に歩いて行きながら、斎藤先生が答える。
沖田さんが眉を八の字にして溜息をついた。

「お前また女の所へ使いっ走りかぁ。苦労するなぁ。なんで女にはだらしないかねぇ、あの人」

後姿を目で追いながら、沖田さんがぼそっと私へ言ったのを、耳ざとく聞きつけて斎藤先生が立ち止まった。

「ほっといてくれ。酒も女もやらんような御仁には判らんよ。そんなところでゴタついてないで、あんたも早く行ったらどうなんだ」

不機嫌そうにそう言って、屯所へ消えて行くのを見届けてから、

「ね?ああ見えて結構負けん気強いんですよねぇ、あの人。大人げが無いやね。そこが私と違うところなんだなぁ。やっぱりこう見えても私の方が年上なだけはあるな」

懐に収めていた手を襟元から出し、アゴに手をやって分別臭くコメントする仕草が可笑しかったとみえ、小夜がまたぶははと笑い転げた。
彼女が笑っているのを見て、沖田さんはご機嫌だし。

この二人、波長が合いすぎてちょっと不安(--;





近頃の幸の仕事内容は、大方が幹部達の休息所への使い走りと色町での人探し。
急な仕事で召集がかかった時、オフを楽しんでいる隊士を探して屯所に帰す役目。

前者は間違いが起きないという理由で、後者はミイラ取りがミイラにならない(誘惑されないで任務を遂行するの意)から、と自分で言って腐ってたことがあったっけ。

でもま、女だという特性を生かした配置の妙=適材適所ということでいいんじゃないないの?と慰めたつもりで余計凹ましちゃったりしたんだけど(^^;



面白そうな成り行きだったので、沖田さんにくっついて行くことにした。

島原なんて入ったことないし、そう言ったら一緒に行こうって沖田さんに誘われたんだもん。

「一緒にどうです?時間はあるんでしょ?」

それを聞いた幸の驚いた顔ったら、今思い出しても笑っちゃう。

「どうしてそれを今言うかなぁ!」

って、沖田さんに訴えた声が裏返ってた。
最初、意味が判らなかったんだけど、

「だって斎藤さんが居るとこで言ったんじゃ叱られますからねぇ。あの人頭硬いから」

・・・そういうことか。

「斎藤先生は良識のある方なんですっ!沖田先生のようにめちゃくちゃ言いません」

幸ってば、そんな学級委員長のようなことを言っちゃって、沖田さんをたしなめてるつもりなのか。
でも沖田さんは平気の平左で、

「そうかなぁ?あちこちに女作って、いたずらに寂しい思いをさせてる人が?会えない言い訳をお前にさせてるような御仁が良識人だってかい?」

逆にやり込められてたじろぎはしたものの、幸もしぶとく、

「そ、そりゃあちょっとばかし女癖は悪いかもしれないけど、副長の手掛けを色里に連れ込もうなんて、そんなとんでもない馬鹿は言いませんよ」

大の大人がそんな無茶を言っては困る、というのは至極当然。
でも、

「ほお?なんだい?お前は今、この私を馬鹿とお言いだね?」

上手いこと話を逸らすもんだ、と後から気付いたっけ。

それは怒ったというよりも明らかにおどけて見せているんだけど、

「ち、違います!馬鹿なことは言わないで下さいって言ってるんです」

幸にとっては戯れでは済まないみたい。
勝手に弁解してる(笑)。

「馬鹿を言うのは馬鹿だからだろう?それは私が馬鹿だってことだろう?お前、いい度胸だね」

彼女の出方を承知の上で、面白がって突っ込む沖田さんもお茶目。

「違いますったら」

幸、必死。

「違うのかい?なら、小夜さんを連れて行っても構わないね?」

「そうじゃなくて・・・!どうしてそうなるんですか!話がめちゃくちゃですったら」

ようやく気付いて話を戻そうにも既に遅し。
幸のヤツ、煙に巻かれちゃいました。

仕方ない、助け舟を出すか(助け舟じゃねーだろオマエ! by幸)。

「もういいから、早いとこお遣い行って来たら?私のことは心配しないで。沖田さんと一緒なら平気だもん」

ね?と竹矢来の向こうを見れば、彼もうんと頷く。
腕組みをして、どこかしら自信満々な様子がひょうきんで可笑しい。

「一緒だから心配なんじゃないか」

幸が泣きそうな顔になった。
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